フコキサンチンと糖尿病について

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皆様こんにちは、大石一二三です。

以前、フコキサンチンの概略と不安定な性質とその解決方法について考察しました。

今回は、いくつかの研究論文をご紹介しながら、フコキサンチンと糖尿病の関係について考察してみたいと思います。

最初に私が行った、糖尿病のマウスにフコキサンチンを食べさせた実験についてのご報告です。

 糖尿病を引き起こしたマウスにフコキサンチンを経口摂取(口から食べさせる)させて、血糖値の推移を観察しました。

開始日と7日目と14日目の3回血糖値を測定した結果が下の図になります。

他の項目についても測定してありますが、他の項目についてはまた後日考察する予定です。

今回関係するのは血糖値の部分だけとなります。

  0日目 7日目 14日目
血清中RBP(μg/ml) 40.95 35.04 33.85
尿中RBP(μg/ml) 0.87 6.13 6.24
血糖値(mg/dl) 483 277 279

 同様の実験を行った研究論文の一つが、

Anti-obesity and anti-diabetic effects of fucoxanthin on diet-induced obesity conditions in a murine model.(*1)

です。これは2009年に宮下氏らによって発表された研究論文です。

 高脂肪食を与えて肥満させたマウスにフコキサンチンを含む食事をさせることで、食べさせなかったマウスを抗肥満と抗糖尿病という観点から観察したものです。

この結果、フコキサンチンを含んだ食事を摂取したマウスは体重増加が抑制され、GLUT4(*2)の発現を促しました。

 GLUT4の発現が促されることで、インスリン抵抗性が改善される可能性を示唆したのです。

2012年には、

Fucoxanthin promotes translocation and induction of glucose transporter 4 in skeletal muscles of diabetic/obese KK-A(y) mice.(*3)

という論文で、フコキサンチンを含む食事を摂取させたマウスで、GLUT4の発現と骨格筋へのブドウ糖の移行について確認しただけでなく、フコキサンチンがインスリン伝達経路を活性化しているというものでした。

糖尿病は、インスリンの不足や、インスリンの働きが落ちることで起こると考えられていますが、原因の一つだと考えられるインスリンの働きを活性化することは、糖尿病の改善に役立つものです。

今回は、フコキサンチンがGLUT4の発現を増加させること、インスリン伝達経路を活性化させることについて書かれた、二つの論文について考察しました。

どちらもマウスによる実験結果ではありますが、私共は、ボランティアの方にフコキサンチンを含むサンプルを食べてもらう試験を行いました。

最大2ヶ月間飲用してもらい、飲用開始時、1ヶ月目、2ヶ月目におけるHbA1cの値をチェックしたものです。

5名のボランティアそれぞれにおいて、有意にHbA1cが低下したことが見て取れます。

図2 ボランティアの数値

  0日目 15日目 30日目
1(58歳、♂) 385 212 187
2(31歳、♂) 231 107
3(64歳、♀) 240 134 112
4(49歳、♀) 228 185 164
5(53歳、♀) 137 113 97

 

 

マウスでの実験結果と同様の傾向が得られたことから、ヒトの体内でもマウスと同じ事が起こっている可能性が推察されます。

フコキサンチンを上手に取り入れることで、糖尿病患者におけるより健康的な生活の手助けとなってくれるのではないでしょうか。

(*1)Anti-obesity and anti-diabetic effects of fucoxanthin on diet-induced obesity conditions in a murine model.

Miyashita K他

Mol Med Rep. 2009 Nov-Dec;2(6):897-902.

(*2)GLUT4:グルコーストランスポーター(GlucoseTransporter)4の略で、主に骨格筋にブドウ糖を取り込むために使われる輸送タンパクの一つ。GLUT4がなければ、骨格筋はブドウ糖を取り入れることが出来ません。

(*3)Fucoxanthin promotes translocation and induction of glucose transporter 4 in skeletal muscles of diabetic/obese KK-A(y) mice.

Miyashita K他

Phytomedicine. 2012 Mar 15;19(5):389-94.2011 Elsevier GmbH.

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