糖尿病治療の種類とこれから

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

糖尿病と診断されたばあいの治療にはどんなものがあるのでしょうか?

基本的な治療方針は、血糖値をコントロールすることにありますが、考え方としては4つあります。

  1. ブドウ糖の吸収量を減らすことでからだの負担を軽くする
  2. インスリンに対するからだの反応を高めることで対応する
  3. インスリンを少しでも多く出させる
  4. インスリンを直接補充する

これらの方法を組み合わせて使うことで治療を行うというのが現在の糖尿病治療です。

上記はどれをとっても、根本的な解決にはなりませんが、根本的な解決方法として5番目の方法が模索されています。

それは、死滅したβ細胞を復活させようと言うものです。

再生医療と呼ばれるこの分野は、まだまだ研究途上のため実際には使われていませんが、ブタのβ細胞を由来とした再生細胞を移植することで、失われた機能を復活させようとする試みが現在行われています。

2017年現在では、人を使った臨床的な研究に手がかかっているところです。

臓器の再生は、未来の話として、現在行われている4つの対処について説明しましょう。

ブドウ糖の吸収量を減らすことでからだの負担を軽くする

もっとも基本的な対処方法が、この方法です。

最も分かりやすいのは「食べる量を減らす」ということです。「食べる量が少ない=ブドウ糖の材料が少ない」というわけです。

次に考えられるのは、いわゆる「食物繊維」による対処方法です。

食事のときは、野菜から食べると良いと言う話を聞いたことがあるかも知れません。

食物繊維は、ブドウ糖にまとわりついて、小腸からの吸収を邪魔するはたらきがあります。

食事以外での対処となると、トクホ成分による方法があります。

じつは、これも食物繊維なので、わざわざ買ってまで食べる必要があるのかと言われると悩むところです。

食事のばあいは食材選びからしなければならないところを、トクホを飲めば考える必要は無いというメリットはあります。

最後は、お医者様から処方されるお薬による対処法です。

お薬の中に、「α-グルコシダーゼ阻害薬」という物があるのですが、これが該当します。

ブドウ糖は、デンプンが分解されることで吸収されます。デンプンからブドウ糖に変わる最終ステップは、小腸の中で起こります。

その時に活躍するのが、「α-グルコシダーゼ」と言う消化酵素です。この消化酵素を邪魔してやれば、デンプンはブドウ糖にならないという訳です。

まとめると

  • 食事の量を減らす
  • 食事の際は野菜から食べる
  • トクホとして売られている食物繊維を食べる
  • お医者様からお薬「α-グルコシダーゼ阻害薬」を処方してもらう

以上の方法が考えられます。

インスリンに対するからだの反応を高めることで対応する

次の対処方法は、インスリンに対するからだの反応を高めることです。

人間は、状況に応じてブドウ糖を作り出したり溜め込んだりする働きをもっています。この働きをコントロールしているのがインスリンとグルカゴンです。

インスリンは、肝臓でブドウ糖が作り出されるのを抑え込み、肝臓や筋肉に貯める働きを促します。

インスリンに対するからだの反応が鈍っていると、血糖値が上がりやすくなるわけです。

最も分かりやすい対処法は「運動」です。

ブドウ糖は、細胞にある「グルコーストランスポーター(主にGlut-4)」を通して吸収されます。

このためGlut-4が少ないとインスリンに対するからだの反応が鈍くなり、多いと反応が良くなります。

運動は、細胞内のGlut-4を増やしてくれます。

運動以外での対処法となると、サプリメントによるサポートが考えられます。

特にフコキサンチンは、血液中のRBP濃度を通して、細胞中のGlut-4を増やす手助けをします。

最後は、お医者様から処方されるお薬による対処法です。

お薬の中に、「ビグアナイド薬」「インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン系薬剤)」という物があるのですが、これらが該当します。

ビグアナイド薬には、肝臓がブドウ糖を作り出すのを抑える働き、筋肉などの細胞がブドウ糖を取り込む力を増やす働き、ブドウ糖の吸収を抑える働きがありますが、詳しいメカニズムについてはわかっていません。

チアゾリジン系の薬は、肝臓がブドウ糖を作り出すのを抑える働き、筋肉や脂肪でブドウ糖が消費されるのを促す働きがあります。

そのメカニズムは、脂肪細胞を分化させるというものです。分化というのは、「細胞が分裂して増える」ことです。

脂肪細胞は、その大きさによって性格が異なります。ここではごく簡単に、少々乱暴な言い方をしますと、大きな脂肪細胞はインスリンに対する反応を弱める物質を作り出す働きがあります。

脂肪細胞を分裂させて増える際に、健康的な大きさの脂肪に置き換わるのですが、これによってインスリンの働きを取り戻そうというわけです。

まとめると

  • 運動をする
  • サプリメントとして売られているフコキサンチンを食べる
  • お医者様からお薬「ビグアナイド薬」「インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン系薬剤)」を処方してもらう

以上の方法が考えられます。

インスリンを少しでも多く出させる

糖尿病の原因は、「インスリン作用の不足」で、その中のひとつがインスリンの分泌量が必要な量に足りていないことです。

インスリンを作り出す、β細胞がない場合には多く出させる事はできませんが、力が低下しているばあいには、お薬によってより多くのインスリンを作り出させることが可能です。

古いお薬では、SU剤(スルホニル尿素剤)、ちょっと新し目のお薬ではグリニド薬があります。

インスリンを作り出すβ細胞ですが、通常はβ細胞にエネルギー源であるブドウ糖が取り込まれ、活動が活発になることでインスリンが作られます。

SU剤やグリニド薬は、ブドウ糖が取り込まれなくても強制的にインスリンを作らせようとする薬です。

問題は、β細胞が薬にも反応しなくなってしまう「二次無効」と言う副作用がある点です。

この副作用を解決したのが、最新の治療薬である「DPP-4阻害薬」です。

この薬は、インスリンの分泌を促す体内物質である「インクレチン」が分解されるのを防ぎます。インクレチンは、血液中のブドウ糖濃度が高いときは効果が高まるという性質を持っているので、からだへの負担が少ないという利点があります。

また、動物実験の段階ではありますが、DPP-4阻害薬はβ細胞を保護したり、再生を促したりすることが出来るのではないかと考えられています。

また、インクレチンそのものをお薬にした「GLP-1」と言うタイプのお薬もあります。

正確には、インクレチンの構造を一部変更して、より使いやすくしたインクレチンと言えます。

まとめると

  • お医者様からお薬「SU剤」「グリニド薬」を処方してもらう
  • お医者様からお薬「DPP4阻害剤」「GLP-1」を処方してもらう

と言う方法が考えられます。

インスリンを直接補充する

最後に考えられる対処法が、インスリンを直接注射する方法です。

インスリンは最も古くからある糖尿病の治療薬です。

インスリンは、確実に血糖値を下げてくれる薬ですので、上手に使うことが出来れば最も強力な手段となります。

問題はいくつかあるのですが、

  • 使い方を間違えると急激な低血糖を起こしてしまい、場合によっては死亡してしまうこと。
  • インスリンを作ることが出来る人にインスリンを注射すると、β細胞がインスリンを作らなくなってしまうこと。
  • 毎日自分で注射しなければならないので、インスリンを携帯し続けなければならず、忘れてしまうと死亡の危険性がある。

上記のような欠点が考えられます。

面白いことに、欠点を逆手に取ったような治療法も開発されています。

インスリンを作ることは出来るけれど量が足りない人に対して、短期間インスリンの注射を行うという治療です。

β細胞がインスリンを作らなくなるということは、β細胞が休んでいるということなのですが、一時期休めることによって、機能が回復することが確認されたのです。

誰でも注射をすればいいというものではありませんが、β細胞の力が弱まってインスリンが作られない人に対しては試してみる価値がある治療法です。

多くは、同時に食事や運動のやりかたを指導する治療が行われるのですが、中には薬を必要としないレベルにまで回復される方も少ならからずお出でになるそうです。

完全に元に戻るわけではありませんので、運動や食事によるサポートは必ず必要になるのですが、薬を全く使うこと無く日常生活の中で健康を取り戻すことが出来ると考えると非常に素晴らしい方法です。

以上、糖尿病とその治療法についてお伝えしました。

中には、完治に近い結果をもたらすこともありますが、どの方法も基本的には「血糖値をいかにしてコントロールし続けるか」に主眼をおいた治療方法となります。

いかに長期間、安定的に血糖値をコントロールするか、これが糖尿病治療のすべてと言っても過言ではないと思います。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*